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グルー治療
グルー治療は、瞬間接着剤(アロンアルファ)を注入して静脈をふさいでしまう治療です。瞬間接着剤を使うため、英語で糊を意味するグルー(glue)治療と呼ばれています。従来のレーザーやラジオ波治療は、静脈の中からレーザーを照射したり電流を流して熱を発生させて静脈を焼いてふさぎます。そのため、静脈を焼くことによる合併症がおこります。しかし、グルー治療では静脈を焼かないので、これらの合併症がほとんどおこりません。また、レーザーやラジオ波治療では、治療する静脈のまわり全体に特殊な局所麻酔(TLA麻酔)が必要でしたが、グルー治療では必要ありません。グルー治療は欧米では、熱やTLA麻酔を使わないという意味のエヌティーエヌティー(non-thermal non-tumescent:NTNT)治療と呼ばれています。
02
レーザー治療
正確には“血管内レーザー治療(endovenous laser treatment: EVLA)” と言います。静脈の中に細いレーザーファイバーを通して、レーザーの熱によって静脈をふさいでしまう方法です。以前から行われているストリッピング手術は、太ももの悪くなった静脈を手術で取り除きますが、レーザー治療は中から静脈をふさいで血を流れなくしてしまいます。カメラで行う胆石の手術と同じ、“低侵襲治療”と呼ばれる体に優しい治療です。
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ラジオ波治療
レーザー治療と同様に血管に細い管(カテーテル)を入れて、内側から血管を焼く治療です。高周波治療では光ファイバーの代わりに専用のカテーテル(ClosureFASTカテーテル)を使います。このカテーテルに高周波電流を流して120℃に熱して7cmずつ血管を焼いていきます。一度に7cmずつ焼けるので治療時間が短いのと温度を自動制御するので常に一定の条件で治療することができます。
ちなみに高周波とは周波数の高い交流電流のことで、ラジオ波とも呼ばれています。
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硬化療法
硬化療法は細い針を静脈瘤に直接刺して薬(硬化剤)を注入して、その後、弾性包帯で圧迫して静脈瘤をつぶしてしまう方法です。固まった血管は、次第に萎縮して消えていきます。硬化療法は外来で10分程度で行うことができます。小さい静脈瘤にはよい方法ですが、ある程度進んだ静脈瘤には効果が少なく再発してしまうという欠点があります。また合併症として皮膚の色素沈着や深部静脈血栓症などが知られており、専門医で治療を行う必要があります。
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ストリッピング治療
静脈瘤の最も標準的な治療です。ストリッピング手術は、静脈の中に細い針金(ワイヤ)を入れて、静脈と糸で結び、ワイヤごと静脈を抜き取る手術です。静脈を抜き去る時に強い痛みをともなうため、全身もしくは下半身の麻酔をしなくてはなりません。そのため、通常、3日から1週間の入院が必要です。これに対し、私たちは2000年に特殊な局所麻酔によるストリッピング手術法を開発し、7000件以上の手術を安全に行っています。